人工股関節でスムーズに歩けるようになるには、退院後も自宅で筋力を落とさないよう、また股関節が固まらないようなリハビリの継続が必要です。リハビリの継続により、退院後の生活の質も向上します。
この記事では、
を解説します。
この記事を読めば、術後のおおまかな流れと、自宅でできるリハビリ方法がわかります。
あなたの術後の不安が、少しでも和らげば幸いです。

退院後に自宅でリハビリを続ける目的は、歩行や日常生活の動作を取り戻し、生活の質を保つためです。
術後は、手術や安静によって股関節周辺の筋力が低下し、人工股関節にしたことでバランスも保ちにくい状態です。
筋力を維持・向上させ、股関節を無理なく動かすことで、歩きやすさの回復につながります。
リハビリは入院中から開始しますが、退院後は通院によるリハビリは必須とせず、自宅のリハビリを推奨する病院もあります。
もしくは、外来リハビリと自宅でのリハビリを組み合わせるなど、病院によって対応がさまざまです。
いずれにせよ自宅でのリハビリを重視する点は共通しています。
とくに術後約3ヶ月の間に、筋力や股関節の可動域が回復に向かいます。
この時期に積極的にストレッチや運動で筋力をアップし、股関節を柔軟に保ちましょう。
その結果、歩行能力や生活の質の向上が期待できます。

まずは、術後のリハビリの流れを順を追って解説します。
病院や回復状態によっても期間や内容が異なるので、あくまでも目安としてお考えください。
歩行器につかまり、ベッドから立ち上がる練習をします。
トイレまで車椅子や歩行器で動くといった動作も、リハビリのひとつです。
リハビリ室などで、本格的なリハビリを始めます。
理学療法士の指導のもと、ゴムバンドを使うなどしてストレッチや筋トレをおこないます。
運動の一例;
など。
同時におこなう歩行練習などの一例;
など。
回復状況を見ながら、徐々に自立歩行へ切り替えていきます。
おおまかな流れは、以下の通りです。
車椅子から歩行器へ切り替え ↓ 杖歩行練習に切り替え ↓ 徐々に二足歩行へ移行
ここからは、退院後に自宅でおこなうリハビリの方法についてご紹介します。
痛みがひいた後も、股関節を固まらせないような運動が推奨されています。
自宅に帰った後も筋力の低下を防ぎ、股関節の可動域を広げ動きやすくするために積極的にリハビリをおこないましょう。
どの運動も股関節に過度な負担のかからないよう、医師や理学療法士に相談の上おこなってください。
ご自身が入院されていた病院で指導されたストレッチや筋トレは、自宅でも引き続きおこないましょう。
ここではその一例をあげていますので、参考になさってください。
※どの運動も、血圧が上がらないよう呼吸をしながらおこないましょう。
【お尻の上げ下ろし】

①仰向けになって両ひざを立て、肩幅程度に開く
②そのままお尻を上げられる範囲で浮かせ、7〜8秒静止する
③ゆっくりと腰を下ろす
回数のめやす:10回を1セットとして3セット程度(医師や理学療法士から指導された回数を優先)
【両膝を立てて開閉】

①仰向けでゆっくり両ひざを立てる
②腰が反らないように注意しながら、ゆっくりと両ひざを開く
③両ひざをゆっくりと閉じる
回数のめやす:10回を1セットとして2セット程度(医師や理学療法士から指導された回数を優先)
【骨盤の前傾と後傾】

①イスやベッドなどに腰かける
②骨盤を前後に傾ける
※背中が反りすぎないよう注意
回数のめやす:10〜20回程度
【うつ伏せで膝を曲げる】
①クッションなどに顔を置き、両手を軽くクッションに乗せてうつ伏せになる
②股関節の前の筋肉を伸ばすように、ゆっくりと膝を曲げる
③ゆっくりと膝を伸ばして戻す
回数のめやす:左右それぞれ10回ずつ(医師や理学療法士から指導された回数を優先)

ウォーキングは、股関節周辺の筋力や歩行能力を回復させるために取り入れられる運動のひとつです。
注意点として、無理のない範囲でゆっくり歩くことを意識しましょう。
早歩きは股関節への衝撃と負担が大きく、痛みが増すおそれがあるからです。
15分に一度ほど休憩を入れて股関節を休めるなど、短い距離から始め、痛みや疲れの状態を見ながらこまめに休憩を取りましょう。

水中歩行やスイミングは、浮力によって股関節への負担を抑えながら体を動かせる運動です。
水の抵抗が運動効果にもつながるため、リハビリとして取り入れる医療機関もあります。
股関節の痛みには飛び跳ねる運動やバランスを崩しやすい運動は向きません。
水中歩行はゆっくり、できるだけ大きく踏み出すことを意識しながらおこなうと効果的です。
※ただし、医師から許可された時期に、無理のない歩幅と速さで行いましょう。
スイミングができる方は、無理のない範囲で泳ぎましょう。

人工関節置換術の前でも後でも、ほとんどの場合、股関節が固まるのは運動不足が原因だといわれています。
椅子に座って足を小刻みに動かす運動は、股関節周辺を無理のない範囲で動かす方法のひとつです。
貧乏ゆすり運動なら、ご高齢や痛みによってウォーキングや水中歩行などの運動ができない方にも無理なくできるのでおすすめです。
とはいえ、貧乏ゆすりも自力で長く続けるのはなかなか難しいものですよね。
そういった場合は、健康器具を使用した貧乏ゆすり運動をリハビリとして取り入れるのもひとつの方法です。
貧乏ゆすり運動は、股関節周辺を無理なく動かし、可動域や筋力の維持に役立つことが期待されます。
また細かく脚を動かし続けることで、股関節周りだけでなく太ももやふくらはぎの筋肉も同時に鍛えられるメリットも。
最小限の負荷で動かせるので、股関節や膝に痛みのある方でも股関節周りの筋力を鍛えられます。
※術後のご使用に際して、必ず担当の医師や理学療法士に確認のうえ、おこなってください。
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ここからは、人工股関節置換術後に自宅でリハビリを行う際の注意点を4つ紹介します。
同じ人工股関節置換術でも、手術方法や回復状態によって注意すべき動作は異なります。
インターネットで紹介されている運動を自己判断で追加するのではなく、入院中に医師や理学療法士から指導された内容を優先しましょう。
運動中に鋭い痛みが出た場合や、運動後も痛みや腫れが続く場合は、無理に続けず医療機関へ相談してください。
傷口の赤みや熱、ふくらはぎの腫れ、胸の痛み、息苦しさなどがある場合は、早めに医療機関へ連絡してください。
術後の異常として、創部の変化、脚の腫れ、胸痛や呼吸困難などには注意が必要です。
人工股関節置換術後は、手術方法によって、股関節を深く曲げる、脚を組む、内股になるなどの動作に注意が必要な場合があります。
注意すべき姿勢は手術方法によって異なります。
退院前に、避けるべき動作を確認しておきましょう。
床の荷物やコード、滑りやすいマットなどを片付け、必要に応じて手すりや杖を使用しましょう。
筋力が安定するまでは、長時間歩く場合や不安定な場所では杖などを使うことも勧められています。
リハビリ期間は、手術方法や年齢、回復状態によって異なります。
退院後も、病院で指導された運動を続け、終了時期は医師や理学療法士に確認しましょう。
参考:AAOS OrthoInfo「Activities After Total Hip Replacement」
医師や理学療法士の許可があれば、短い距離から少しずつ歩きましょう。
痛みを我慢せず、体調に合わせて無理なく続けることが大切です。
参考:AAOS OrthoInfo「Activities After Total Hip Replacement」
痛みが出たら、いったん運動を中止して休みましょう。
強い痛みや腫れが続く場合は、医師や理学療法士に相談してください。
参考:NHS「Recovering from a hip replacement」
痛みが落ち着いた後も、医師や理学療法士の指示に従って運動を続けることが、歩行能力や筋力の維持につながります。
運動量が減って動かない生活が続くと、足腰の衰えにもつながります。
ウォーキングやスイミングなどは運動に慣れている方でないと、継続するのは難しいかもしれません。
また自宅でのリハビリ運動は、動きが単調で飽きやすく、楽しく継続するのが難しいというデメリットがあります。
その点、前述したような健康器具での貧乏ゆすり運動なら読書やテレビを見ながらトレーニングできる「ながら運動」なので、リハビリも楽しく続けられるでしょう。
同じ時間ウォーキングした場合と比較しても、より多くの回数足を動かせます。
「あしふみ健幸ライフ(ゆるふみ)」は「てこの原理」を利用した非電動の器具です。人工股関節が入っている方でも安全に使用できます。また、電動のステッパーに比べてメンテナンス不要で壊れにくく、半永久的に使える点も大きなメリットです。
術後も生涯にわたり歩ける体作りのために、「あしふみ健幸ライフ(ゆるふみ)」を生活の一部に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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参考文献:企画編集部『股関節の激痛は自分で治せる!』マキノ出版(2021/2/5)
高平尚伸、杉山肇著『股関節痛 変形性股関節症 整形外科の名医が教える最高の治し方大全聞きたくても聞けなかった160問に専門医が本音で回答!』文響社(2020/10/15)
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