ここ数年、テレビやネット上で健康や運動によいと話題になっている「貧乏ゆすり」。研究により、変形性股関節症の改善にも効果的だと分かってきました。
とはいえ、
「実際にどんな効果があるの?」
「なぜ貧乏ゆすりにそんな効果が期待できるの?」
「いいとは分かっても、毎日続けられるものなのか」
と疑問に思うかたも多いかと思います。
本記事では、貧乏ゆすりが変形性股関節症にも効果的な理由や、健康面・運動面の効果についても詳しくお伝えします。
貧乏ゆすりの効果は多数ありますが、ここでは健康面のおもな効果を以下6つに絞ってお伝えします。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
貧乏ゆすりの効果として最初にお伝えするのが「変形性股関節症の改善」です。
貧乏ゆすりは海外ではジグリングとよばれ、変形性股関節症のリハビリに取り入れられています。
変形性関節症とは股関節の軟骨がすり減って、すき間(裂隙れつげき)が狭くなり変形する病気です。貧乏ゆすり(ジグリング)で小刻みに持続的に股関節が動くと、関節液の循環がよくなります。すると軟骨に栄養が行き渡り、再生を促すと考えられているのです。
日本の整形外科学会でも、ジグリングにより軟骨が再生したと思われる症例が多数報告されています。
参考:
J-Stage『変形性股関節症に対する関節温存手術後の関節症に対するジグリングの効用』
J-Stage『成人脳性麻痺症例の変形性股関節症に対する保存的治療に成功した一例』
こちらの研究では1日2時間の自動ジグリング機器を使用したとされています。
とはいえ自力で2時間もの貧乏ゆすりは大変だとお思いのかたは、座ったままでも簡単に貧乏ゆすりと同様の効果が得られるあしふみ器具の使用がおすすめです。
貧乏ゆすりがリハビリによい理由などより詳しく知りたい方は、
「貧乏ゆすりが変形性股関節症や腰痛のリハビリによい理由と簡単なやり方を解説」もあわせてご覧ください。
貧乏ゆすりの健康面の効果として2番目にお伝えするのが、冷え性やむくみの改善です。
ふくらはぎや股関節を動かすことで、血液の流れと代謝がよくなるからです。
冷えとむくみは、血流と代謝が悪くなることで起こります。
人間の血液は重力により、およそ70%が下半身に集中しています。
その血液を心臓に戻すポンプのような役割をするのが、ふくらはぎです。
貧乏ゆすりはふくらはぎの筋肉を動かすので、ふくらはぎのポンプ機能を活性化し、血流をよくする運動だといえますね。
さらに股関節の周辺には下半身最大のリンパ節が集中しています。
貧乏ゆすりで股関節を動かすことによって、リンパが流れやすくなって代謝があがります。
このようにふくらはぎと股関節を動かす貧乏ゆすりは、血流と代謝をよくして、冷えやむくみを予防・改善できる運動だといえるでしょう。
貧乏ゆすりの3つ目の効果は、免疫力のアップです。
前述のようにふくらはぎや股関節を動かすと血流がよくなり、その結果体温が上昇するからです。
人間の体温が1度下がると、免疫力は30%も落ちるといわれています。逆に体温が1度上がると、免疫力は5倍にもアップします。
血流がスムーズでなければ体も冷え、胃腸、心臓、腎臓のはたらきが衰えて免疫力が落ちてしまうのです。
血液には、白血球を体全体に運ぶ役割もあります。
白血球は、体内に入った異物をやっつけてくれる重要な物質です。
血のめぐりが悪いと体内で白血球を運べなくなり、免疫力が下がってしまいます。
繰り返しになりますが、冷え性の方は免疫力をあげるためにも血流をよくすることが大切です。
貧乏ゆすりは血流の改善に効果があるとお伝えしてきましたが、その結果、エコノミークラス症候群にも効果が期待できます。
血流がよくなると、血栓ができにくくなるからです。
エコノミークラス症候群とは、長時間狭い座席に座り続けることで、血流がとどこおり静脈に血栓ができる症状です。立ったときに血栓が肺に飛び血管を詰まらせ、ひどい場合には死に至ります。
飛行機や乗り物に乗ったときだけでなく、デスクワークなどで長時間座りっぱなしの人にも起こる病気です。
長時間座って過ごすことが多い方などは、血栓を作らないよう貧乏ゆすり運動で血流をよくするのをおすすめします。
エコノミークラス症候群と貧乏ゆすりの関係についてより詳しく知りたいかたは「エコノミー症候群は貧乏ゆすりで予防を!」の記事もご覧ください。
貧乏ゆすりの5つめの効果は、ストレスの軽減です。
貧乏ゆすり運動により、幸せホルモンとよばれるセロトニンの分泌を促せるからです。
歩行や呼吸、噛んで食べるなど一定のリズムを刻む動作を意識的におこなうと、セロトニンの分泌が促進できるといわれています。
貧乏ゆすりも一定のリズムを刻む運動なので、セロトニンを増加させる効果が期待できるというわけです。
貧乏ゆすりの健康面での効果として最後にお伝えするのは、認知症の予防です。
貧乏ゆすり運動で血流がよくなると、脳神経を活性化できます。
脳はたくさんの血管が集まる場所です。体全体の血流をよくすれば、血液に乗って多くの酸素や栄養素が脳に運ばれ、脳のはたらきが活発化します。
また、フレイル(加齢により心身が衰え介護などを必要とする虚弱な状態)も認知症を引き起こす重大な原因の一つです。
貧乏ゆすり運動では、太ももの前側にある大腿四頭筋を鍛えられます。
大腿四頭筋を鍛えると膝や股関節の曲げ伸ばしがスムーズになるだけでなく、転倒防止や歩行機能の維持にも大きく役立ちます。結果、フレイルの予防にもつながるということです。
脳神経を活性化し、かつフレイルも予防できる貧乏ゆすり運動は認知症の予防に大きく役立つ方法として注目されています。
参考:健康長寿ネット「フレイルと疾患ー運動器疾患」
公益財団法人長寿科学振興財団「運動によるフレイル予防:最新のエビデンス」
貧乏ゆすりは、筋肉を動かす軽い運動効果があります。
筋力がアップすることで、
・脚の引き締め
・ダイエット効果
などが期待できます。
ここからは貧乏ゆすりの効果を運動面に着目して見ていきましょう。
貧乏ゆすりではふくらはぎや太ももなどの筋肉をアップさせ、引き締める効果があります。
スポーツ選手もウォーミングアップやベンチでの待機時間に取り入れているというのをご存じでしょうか?
貧乏ゆすりといえども筋肉をゆらす運動なので、筋肉が維持されます。
同時に、脚の血液循環やリンパの流れがよくなり代謝がよくなることでむくみの解消にもなります。
筋力アップとむくみ防止のダブル効果で、脚の引き締めが期待できるでしょう。
意外に感じられるかもしれませんが、貧乏ゆすりにはダイエット効果も期待できます。
なぜなら、筋肉を増やして基礎代謝を上げるからです。
基礎代謝とは、じっとしていても毎日必ず使われるエネルギーのこと。ダイエットでは、基礎代謝をあげて痩せやすい体を作ることがまず重要です。
下半身には全身の6〜7割の筋肉があり、たくさんのエネルギーを消費します。貧乏ゆすりで下半身の筋力がアップすれば、体の余分な脂肪がエネルギーに変わり燃焼しやすくなるのです。
またこれまで、貧乏ゆすりには血流をよくして体温を上げる効果があるとお伝えしました。
体温が1度上がると基礎代謝量が12〜13%上昇し、やせやすい体になるともいわれています。
下半身の筋力アップと体温の上昇で基礎代謝を上げることが、ダイエット成功のカギだといえるでしょう。
貧乏ゆすりのダイエット効果について、より詳しく知りたいかたは
「【貧乏ゆすりでダイエット】効果と無理なく続くやり方」の記事もご覧ください。
貧乏ゆすり運動は、座ったままできるのが大きな魅力です。
ご高齢で運動がおっくうになってきた方や、デスクワークが多い人でも読書や仕事をしながら簡単にできるので、おすすめです。
大切なのは、続けること。一時期だけでやめてしまっては、お伝えしたような効果を得るのは難しいでしょう。しかし継続すれば、血流や体温、免疫力、筋力までアップできる理想的な運動法です。
ここでは自力で貧乏ゆすりをする方法と、健康器具を使う方法を2つお伝えします。
まずは自力で脚を揺らす貧乏ゆすりの方法をご紹介します。
1日に何度おこなってもよいです。
①つま先を床につけたまま、かかとだけを上下に小刻みに動かす
②片足20秒ずつ、交互に行う。
ポイント:片足をゆらしている間もう片方の足は床につけたまま動かさないこと。逆にかかとを支点にして、つま先を上げ下げするのもOK。
毎日自力で続けるのが難しいと感じる方は、足ふみ健康器具を使えばかんたんに貧乏ゆすりと同様の効果が得られます。
整形外科学会の研究結果では、1日2時間の貧乏ゆすりで効果が出たとありますが、毎日これだけの時間を自分でおこなうのは大変ですよね。
健康器具を使えば負荷をかけなくてすむので楽に続けられます。
なかでも「足ふみ健幸ライフ」は、ウォーキングと同様の歩行運動が可能だと医学博士からも認められています。
あしふみ運動で股関節を動かせば、坐骨神経を圧迫する梨状筋を緩め腰痛を緩和します。
また股関節周辺の筋肉もほぐれるので、腸の活性化や血流の改善も期待できます。
これまで、貧乏ゆすりは血行の促進や、ストレスの緩和、筋力アップなどの効果があるとお伝えしてきました。
裏を返せば、無意識に貧乏ゆすりしてしまう人は
・血行不良
・ストレス
・運動不足
を抱えている可能性があるといえます。
あくまで原因の一つですが、これらの不快な状態を落ち着かせるために貧乏ゆすりをしてしまう心理が働くといわれています。
近年、アメリカやオーストラリア、イギリスをはじめ世界中で座りすぎによるがんや病気の発症、死亡のリスクが問題視されています。
WHO(世界保健機構)が「座りすぎが世界で年間200万人の死因になる」と警鐘を鳴らすほど深刻です。
なかでも日本人の座っている時間は1日7時間と、世界20カ国の中で最も長いと発表されています。高齢やデスクワークで座る時間が長い方は、特に注意が必要です。
イギリスの大学研究チームの発表では、1日5〜6時間座りっぱなしでも頻繁に貧乏ゆすりを行うことで死亡リスクが37%も低下するとされています。
自力で長時間おこなうには面倒な貧乏ゆすりも、同じ運動効果が得られる器具の助けを借りれば、簡単なので毎日でも続けられます。
ぜひ貧乏ゆすり運動を気軽に生活の一部に取り入れ、健康に長生きする準備をされてみてはいかがでしょうか?
関連記事:「座りすぎ対策座ったままウォーキング あしふみ健幸ライフ」
参考:スポーツ庁「日本人の座位時間は世界最長「7」時間!座りすぎが健康リスクを高める あなたは大丈夫?その対策とは・・・」
参考文献:
企画編集部『股関節の激痛は自分で治せる!』マキノ出版(2021/2/5)
高平尚伸、杉山肇著『股関節痛 変形性股関節症 整形外科の名医が教える最高の治し方大全聞きたくても聞けなかった160問に専門医が本音で回答!』文響社(2020/10/15)
吉原潔著『貧乏ゆすりでゆる体活』ヘリテージ(2022/6/24)
慎孝子著『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』アスコム(2014/2/26)
松井 宏夫、 板倉 弘重著『長生き「できる人」と「できない人」の習慣』明日香出版社(2016/11/12)
青柳幸利著『あらゆる病気は歩くだけで治る!』SBクリエイティブ(2017/10/5)
岡浩一朗 著『「座りすぎ」が寿命を縮める』大修館書店(2017/10/17)
遠藤英俊著『認知症にならない!させない!世界実証メソッドを網羅!脳の名医が教える最高の脳活大全』文響社(2021/1/11)
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