変形性膝関節症の予防や改善には適度な運動が必要です。
しかし、もともと運動が苦手、肥満で運動に対する不安がある、高齢でゆっくりとした動作しか行えないなどの方は、運動自体に恐怖を感じる可能性があります。
しかし、運動にはあらゆる種類があって、変形性膝関節症の予防や改善目的で行うなら、ハードな運動は必要なく、緩やかなストレッチで対応できるのです。
それではまず、変形性膝関節症にストレッチがおすすめできる理由からご紹介していきましょう。
膝関節は体重を支える大切なパーツですが、体重がかかる部分だけに他の関節よりも摩耗が激しいという特徴があります。
そして、その膝関節のサポートをしているのが足の筋肉で、この筋肉が衰えることでより膝関節の負担が大きくなり、より変形性膝関節症を発症しやすくなるのです。
ストレッチには、足の筋力強化だけでなく柔軟性向上作用もあるため、予防として行っておけば変形性膝関節症を発症しにくくなると考えられています。
加齢で軟骨や骨がもろくなったり、軟骨の間に存在しているヒアルロン酸やコラーゲンなどの成分が減少したりすると、軟骨同士が直接触れ合って鋭い痛みが現れることがあります。
これはまだ初期段階ですが、その状態を放置していると重症度が高まり、やがて膝関節が変形してしまうことがあるのです。
そうならないためには足の筋力を高めておくことが大切なのですが、すでに発症していて痛みが出ていたとしても、ストレッチなら無理なくご自身のペースで行えます。
痛覚過敏とは、ほんの少しの刺激でも感じる痛みを意味し、変形性膝関節症の症状の進行ととともに起こりやすくなるといわれています。
そしてその予防に役立つのがストレッチで、無理をしない程度にゆっくりかつ長期的に行うことで筋力が強化され、痛覚過敏が起こりにくくなるといわれています。
なお、既に痛覚過敏が起こっている場合では、薬物療法で様子を見て、医師が適切だと判断した場合ではストレッチによる運動療法の指導を受けられます。
また、変形性膝関節症の痛みは常に一定ではなく、日によって痛みが出たりでなかったりする、あるいは日によって痛みの度合いが異なるといった現象が起こることがあります。
いずれの場合でも、既に痛みが出ているなら、ひとまず自己流でのストレッチは避け、医師による診断と処置を受けることが先決です。
変形性膝関節症で痛みが出ると、その痛みが少なかったとしても膝を動かすのが怖くなり、「運動なんてもってのほか!」という気持ちになることがあります。
しかし、それはあくまでも無理に運動をした場合の話であって、医師や運動療法士などの指導を受けながら行うストレッチでは、激しい痛みを感じる可能性は低いのです。
もちろん、膝関節や足を動かす以上無感覚でストレッチを行うことはできません。
しかし、ストレッチに少しずつ慣れていけば、運動そのものに対する恐怖心も徐々に和らぐでしょう。
それでは、運動が苦手な方でもゆっくりマイペースで行える、変形性膝関節症の予防や改善のためのストレッチをご紹介していきます。
このストレッチは太腿前面の筋力強化に役立ちます。
1.背もたれのある椅子に腰かけて、片足をまっすぐ前に伸ばして10秒キープ
2.伸ばした足を下ろして数秒間休憩
3.20回を目安として行う
4.方足も同様に行う
なお、このストレッチは膝をまっすぐに伸ばして痛みが出るようなら、無理に伸ばさなくても大丈夫です。
また、片方20回というのはあくまでも目安となる回数ですので、まずは無理をせず、1回から少しずつ慣れていきましょう。
すねとふくらはぎの筋力が落ちると、階段の上り下りや歩行が困難になることがあります。
このストレッチでは、すねとふくらはぎの筋力アップを図れますので、ゆっくり焦らずに実践してみましょう。
1.安定性のある椅子やテープにつかまってまっすぐに立つ
2.ゆっくりとかかとを上げてつま先立ちする
3.元の姿勢に戻る
このストレッチは、反動をつけずに筋力を使って行うのがポイントです。
はじめはかかとを上げるのが辛いかもしれませんが、慣れてくるとすねやふくらはぎの筋力が使われて筋力アップしているのがわかるようになりますよ。
このストレッチも1回20回が目安ですが、強い痛みを感じたり足がつったりしたときには直ちに中止して、少し休んでから再開してみてください。
それでも辛ければ、とりあえずその日はこのストレッチを行わず、別のストレッチを行うか翌日に再チャレンジしてみましょう。
足の裏の筋肉は普段あまり意識することがありませんが、実は歩行をつかさどる大切な筋肉なのです。
このストレッチでは、足裏にある足底筋という筋肉の強化に役立ちます。
トレーニングにはタオルが必要になるので、事前に1枚用意しておいてくださいね。
1.背もたれのある椅子に腰かけて、片方の足の下にタオルを敷く
2.足裏全体と足指を使って、タオルを手前に手繰り寄せる
3.2回~3回行う
4.反対側の足でも行う
このストレッチは、足裏全体だけでなく足首も鍛えることができますので、ぜひ焦らず、ゆっくりと実践してください。
腰骨から太腿にかけての筋肉を強化するストレッチです。
このストレッチは、運動が苦手な方には少々ハードルが高い可能性がありますので、ある程度ストレッチに慣れたと感じた時点から開始してください。
1.両膝で座り、片足を後ろにスライドさせて膝で支える
2.腰を前に突き出す要領でふともも付け根の筋肉を伸ばす
3.左右1回ずつ行う
このストレッチは、上体を反らし過ぎると腰を傷める可能性がありますので、十分に注意してください。
なお、初めは1回から慣らし、徐々に回数を増やしていくことで筋力アッ効果を狙えます。
今回は、運動初心者でも比較的実践しやすいストレッチをご紹介しましたが、簡単そうに思えても、変形性膝関節症の痛みが現れているときついと感じることがあります。
そのようなときには、何が何でも実践しようとするのではなく、回数を減らす、時間をかけて1回だけ実践してみるなどの工夫を行ってみてください。
なお、ストレッチに不安がある方は、ひとまずかかりつけ医に相談し、指導を受けるという方法がおすすめです。
変形性膝関節症は、症状が現れる前にストレッチで予防をするのがベストです。
しかし、既に痛みが出て運動に対する恐怖心が芽生えてしまった方もいるのではないでしょうか。
そのような方は、今回ご紹介したストレッチのうち、どれか1種類を実践してみて、徐々に複数のストレッチにチャレンジしてみると良いでしょう。
ただし、膝関節に強い痛みが出ているなら、無理なストレッチは逆効果になることがあります。
この場合では、自己判断でストレッチを実践するのではなく、かかりつけ医師の指示に従った上で、ゆっくりと実践することを心がけてくださいね。
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